YouTubeがCDの次の世界の標準音楽メディアになるでしょう! [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]
週刊金曜日をご愛読の共産主義者のみなさまあけましておめでとうございます。
今年も日本の赤色革命を目指してさし上る朝日の如く前衛的に一党独裁いたしましょう。
さて最近の革命運動の勝利といえば、年末の紅白歌合戦。
無名の庶民から一夜にして世界的シンガーに躍り出るというプロレタリア暴力革命を成功させた大英帝国のイケズなおばはん、じゃなかった革命烈士スーザン•ボイルをご覧になりましたか。ご承知かどうか、片田舎に暮らすブサイクなおばちゃん、おっと間違えた、地味な主婦でしかなかったミセスボイルが世界でCDを数百万枚売るなんて、マイケルジャクソン殿下みたいな偉業を成し遂げることができたのは、英国で放送された素人タレント番組のビデオを誰かがYouTubeにアップ、世界中が彼女の歌をインターネットで視聴できるようにしたからですね。マイケル殿下を地球規模のスターにしたのが殿下の超絶ダンスビデオを世界中に流したMTVだったことを思い出すと、あれから三十年弱を経て音楽の世界標準メディアが完全に「テレビ」から「インターネット」に移行したことがわかります。ワーオ。
いや玄人だけの話じゃないんです。ちかごろ若い音楽仲間なんぞに「最近なんかおもろいバンドある?」てな話を(もちろんメールで)しますと「これおもしろいですよ」と返ってくるのは決まってYouTubeのURLのリスト。
クリックするとたちまちビデオクリップが始まる。すごい!世界中がよってたかって作る音楽ビデオ図書館だぞ。音楽も聴けるし動く絵も見れる、いや見ることができる。しかもタダ。うひゃーこりゃ快適だねえ。言うことなし。CDなんぞ買う気起こらんわ。
そうやって教えてもらった私が最近ハマったのはイギリスの「Selfish Cunt」(日本語にすると(ピー)という意味です。まあジコチューメスブタてな意味です)です。このバンドの「I X NEW YORK」って曲のビデオがすごい。
9•11テロでビルに飛行機が突入するおなじみのニュース映像と連ドラ「Sex and the City」の主人公のねーちゃんの画像、さらにアメリカ空軍の爆撃機がどかすか爆弾をばらまくニュース画像を切り刻んでぐちゃぐちゃにつなげたって代物。
通しで見ると「アメリカもアルカイダも破壊と殺戮って点じゃどっちも同じじゃねえか」って壮大な批判がちゃんと映像で表現されてる。「グローバル経済への脅威となる連中を/法と秩序を回復するまで/殺して殺して殺しまくるぞ」ちゅう歌詞もワーオですが、その歌と映像が一緒になった時のインパクト、まあいっぺん見てください。
もひとつYouTubeが革命的なのは、プロもアマも平等に世界に動画を公開できちゃうってことです。オリコン裁判で孤軍奮闘していた時、どこのテレビ局も取材に来てくれないので、ひがんだ私はビデオカメラに向かってしゃべる自分の映像を五分ほどのビデオメッセージにして約五十本アップしました。
そしたらびっくらしたね、最多で十万を超えるアクセスが来た。わはは。
時間無制限だし自由に好きなことしゃべれるし、テレビ取材よりよっぽどええやんけ。
てんで、味をしめた私、最近はライブ会場(私ミュージシャンもやってるって言いましたっけ?) にビデオカメラと三脚を持参、自分がベースを演奏するライブをインターネットで公開しております。名付けて「うがやMTV」。
そしたらまたすごいんだ、これが。アリゾナ、オーストラリア、ドイツなどから「お前の演奏を見たぞ。カッコいいな。おれの演奏ビデオも見てくれ」とどかどかメールが来てあっという間にメル友。うひー東京にいながらワールドツアーでございます。
おお一年の計は元旦にあり。今年の目標が決まりました。スーザン•ボイル先生のようにYouTubeで世界的スターとなり、紅白歌合戦に出て、キムタクの英語を鼻で笑ってやる。おおなんと清々しくなんと壮大な初夢!
(2010.01.17)
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