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上野樹里ちゃん あんた修行足りんわ [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]

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 脳ましい脳ましい僕の変人・上野樹里さま。あなたは僕の大腸だ。

 映画「ジョゼと虎と魚たち」であなたが演じた、リアルな偽善者を拝見、僕はあなたの虜になりました。

 なんちゅうベッピンさん!なんぼ演技うまいねん!

 その後あなたは「スウィング・ガール」「のだめカンタービレ」で国民的スターになりましたね。

 おっちゃんはね、おっちゃんはね、まるで自分の娘がヨメに行ったような嬉しさで…涙が、涙が…おおおおおお。

 その上野樹里チャンと、これまた私が愛してやまない長澤まさみチャンが共演する!

 しかも「禁断愛」だとか二人のキスシーンがあってとか、思わせブリブリなキャッチコピーが番宣で流れまくり、ワタクシ毎週木曜夜十時はフジにロック・オン、熱い期待に股間、おっとまちがえた胸を膨らませながらそのドラマ「ラスト・フレンズ」をおし拝むように見たのであります。

 なるほど。樹里チャンは性同一性障害、つまり肉体は女性だが精神は男性という役なのですね。

 だがカミングアウトできないまま、まさみチャンに恋して苦しむ。一方まさみチャンはDVカレシとの共依存状態から抜け出せず、そこにセックス恐怖症のなんとかクンが絡んでどーたらこーたら。うううヤヤコシイ。

 思い出した。「ラスフレ」と同じく性同一性障害の女性(精神が男性)を主人公にしたアメリカ映画「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)って見たことあります?

 この作品はヒラリー・スワンクのメジャー・デビュー作なんだが、わたしゃ最初見たとき「えっ!この俳優さん、女なの!!」と椅子から転げ落ちそうになった。

「男と女では笑う時に使う顔の筋肉が違う」とまで研究したスワンクの演技は、細かい表情も仕草も、完璧に男そのもの。その「彼」が、生理に舌打ちし、膨らんだ胸をサラシで巻いて必死に隠す姿が、性同一性障害の苦しみを実にリアルに伝えていた。

 そう、スワンクが完璧に男にしか見えないからこそ、実はその肉体が女性であることの心の痛みに共感できるんです。さもありなん、ヒラリー・スワンクはこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞します。

 樹里ちゃん。ごめん。イケズなおっちゃんを許して。

 アカデミー賞女優と比べたら酷やけど、あんたまだ修業足りんわ。

 いくら髪をベリーショートにして、メイクを男っぽくして、男みたいなセリフしゃべっても、あんたはまだ「ボーイッシュな女の子」にしか見えん。

 なぜか? あなたが生理になって苛立つシーンなんてないよね。胸のふくらみを隠したり、股間に人工(ピー)を入れてこっそり男装なんてリアルなシーンはないよね。

 そう。このドラマ、「性」がメインテーマのくせに、核心を突くような性的描写は注意深く取り除いてある。宣伝に使える場合を除いて。

 そもそもこのドラマ、木村拓哉と福山雅治の同性愛(あるいは性同一性障害)物語だったら、番組企画が通ったかね。

 断言するが答えはノーだね。

 わたしゃ、このへんどうしようもない「同性愛内差別」を感じる。つまり「レズは美しいがゲイはキモい」という偏見ですな。

 実はこの発想、異性愛男性のものなんです。テレビ局やスポンサーの決定権限者を筆頭に、日本社会の主流は今でも異性愛男性優位だからね。

 そうか、だから「ラスフレ」には日本郵政だとか味の素だとか三菱自工だとauだとか、名だたる保守的なスポンサーが顔を揃えているわけか。

 ははははは。何だつまんねえの。


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