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天皇の出ない玉砕ドラマなんてやめてくれ [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]

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 過日汗だくの夜、エアコンの下ぐったり横臥し放屁などしつつテレビジョンをスイッチオンしてみると、日本兵捕虜がただ死ぬためだけに収容所で暴動を起こすってドラマやってる。

 へー民放もやるじゃん。

 これ「カウラ事件」ちゅうんですな。知らんかった。

 1944年8月にオーストラリアのカウラにあった収容所で、約1000人の日本兵捕虜が「生キテ虜囚ノ辱ヲ受ケズ」って「戦陣訓」(はいはい原典は『軍人勅諭』す。ややこしい歴史学的ツッコミはヤメロって)に執着するあまり、野球や将棋のリクリエーション三昧の楽しい生活を捨て、機関銃に撃たれるためだけに鉄条網に突撃するというムチャクチャな、だが実話なんですな。

 このドラマ「あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった〜カウラ捕虜収容所からの大脱走」って、名前長いやん、は「日本テレビ開局55周年記念番組」なんだって。

 3月に放送された「東京大空襲」に続いて「第二次世界大戦3部作ドラマ」の2作目になるとか。

 日テレよ、何でそないなハンパな年を記念する必要があるのか?

 まあええ。相変わらず「日本人は戦争被害者」ちゅう視点しかないし、生ぬるい。まあ、それも勘弁したる。キムタクが検事になったり総理大臣になったり、お台場の警察が踊ったりマラソン大会が爆発したりのふにゃふにゃドラマしか作れないテレビ局に比べりゃ「戦争」なんて重いテーマに敢えて挑戦したその志たるや、大いによし。

 でもリアリティはないな〜。

 主演の小泉純一郎の息子(名前忘れた)のサル芝居、何とかしてくれ。

 大泉洋の野良犬プードルみたいなロンゲ、あれなんやねん。んな日本兵おるか、どあほ。役者やったら髪くらい切って役作りせんかい。んでその風貌で「生きてたら何かいいことあるって〜」って萩本欽一みたいなセリフ(そういや顔も似てるな)やめてよ。

 山崎努と阿部サダヲの重量級名演技(特に阿部の狂信的日本兵はすごい。彼のはまり役になるでしょう)がなかったら、それこそドラマが玉と砕けてたのとちゃいますか。

 でもね、一番リアリティを削いだのは何だと思います? 兵士が誰も「天皇陛下」て言葉をいわないんですよ。大日本帝国陸軍の兵隊さんが、ですよ。ホント一言もない。一人だけ「大日本帝国万歳」て叫んで撃たれる日本兵がいる。けど「天皇陛下万歳」とは誰も言わない。

 阿部サダヲ率いる狂信的日本兵グループでさえ、一人も言わない。当時朝の必修行事だったはずの「宮城遥拝」(皇居の方向を臨んで頭を垂れ敬礼する)もしない。うっひょ〜そんな「皇軍」あるわけないじゃん。

 あのね、当時ね、天皇陛下は神様だったんだよ。天皇の祖先霊が兵士の行動を天上から見てますよ、「皇軍」である大日本帝国軍はその神様である天皇の軍隊で、死んでも御霊は軍神として靖国神社に安らかに奉られますよ、ってマジメに政府もマスコミも言ってたの。

 だから皇軍兵士は死ぬのを恐れないってことになってた。「天皇陛下」って具体的な「神様」がいたからこそ、職業軍人じゃない庶民兵士までみんな「死のう」って思ったんでしょーに。

 んで「週刊金曜日」のような国賊アカ雑誌、おっとまちがえた硬派ジャーナリズム雑誌としては、すわマスコミすわ菊タブー、とステレオタイプに張り切り、ピカピカの日本テレビに電話して「何で誰も天皇陛下て言わんのですか」と気合いで聞いたら、明るい声のおねーさんが(きっと美人なんだろうなあ)「原作の手記に記述がありませんので」とハキハキおっしゃり秒殺。

 あうううう腰が砕けた。椎間板ヘルニア。痛い。


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