「臨死!!江古田ちゃん」読んだかね若人よ! [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]
おお恥ずかしきもの、汝の名は若気の至り。
今を去ること(ピー)十年前、おっちゃんがまだティーンだった昔、「女心」なるものはナスカの地上絵なみの大神秘でありました。その無知につけこんだのが「ホットドッグ」「ポパイ」「週刊プレイボーイ」あたりの青年誌。「女心はこう読め!!」など踊る大見出しにツラれ「カノジョが脚を頻繁に組み替えたらOKサイン!」(ナニがOKなのか分かりますね)「利き腕と反対の手で頬杖をついたら誘ってほしいシグナル!!」(ナニに誘ってほしいのか分かりますね)等々、今考えりゃそりゃーねーだろー的記事を本気にして突撃、カノジョからビンタ、蹴り、鉄拳など玉と砕けた戦友は数知れず。あまりの惨禍に「ホットドッグ被害者の会」を結成しよう、とガキどもは本気で話し合ったものでした。
その後も妄想、じゃなかった女性美化ファンタジーは再発を繰り返し「嗚呼これが女の正体であったか」と我に返るころには、時すでに遅し。齢四十を超え、オバチャン、じゃなかった妙齢となったかつての可憐なカノジョはユニクロのジャージでへそ出してガーガー爆眠しとる。傍らで愕然とするかつての妄想少年。おお二度と繰り返すまじ、この過ち。
てなわけで若人よ、我々の轍を踏みたくなければ、瀧波ユカリの四コマギャグまんが「臨死!!江古田ちゃん」(講談社)を読みなさい。
主人公の江古田ちゃんは北海道出身の二十四歳。このストレートヘアで時々白目むいている雪女みたいな風貌の彼女、なぜか知らんがいつも全裸で暮らしている。昼間は生命保険のカスタマーサポートやって、夜は日本人なのになぜかフィリピンパブで働いている。なぜか彼女を恋人にする気のない(=本命が他にいる)男とばかり寝てしまう。
何がすごいってこの江古田ちゃん、ここまで言ってインカ帝国的に女のホンネ全開なのです。ヤバいぞ。
宴席で「オナニーなんかしたことな〜い」とカワイ子ぶる女にちゃぶ台ひっくり返し「断言する!!全ての成人女性はオナニーの経験がある!!」と一コマつぶして絶叫。必死で抗弁する女子男子を「現実を見ろ!!」「カマトトぶるな!!」「自分のマ○コもさわったことないのか?」と喝破しちゃう。公衆トイレに入って紙がなくても「男の子みたいにこきざみにふるえて シェイクシェイク」「でもね、最近は手でふいたあと手をあらうって技もあみだした」と友人M(25歳)とマジメに情報交換しとるぞ。うくく。
でも、やっぱ破壊力ナンバーワンは彼女のセックスに対する醒め切った態度だわ。
もう夢もキボーもない。駅前で出くわした男性四人組を見て「全員しとねを共にしてる!!」と青ざめるも、次の瞬間には彼らを並べ替え「向かって右から一、二、三、四位」と順位付け。古びたパンツを「これはT君に強引に脱がされ」「これはS君のとき」と「時系列」「良かった順」に並べて遊んでおる。あうう、かつての小生みたいな女性美化系妄想少年は皆殺しの虐殺テロまんがだね、こりゃ(すんません。筆者の好みでネタ選択が下ネタに偏っております。若干)。
てえことはだね、女性に現実的に対処するにはだね、江古田ちゃん読んでから出撃した方がいいよ、若人よ。ここに描かれている通り、オンナだって一皮むけばオトコとそんなに変わらんのだからね。ああイヤだイヤだ、何ておじん臭い説教やってんだ、おれ。
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