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団塊の諸先輩方、みなさんも負の歴史と向き合えない腰抜けなの? [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]

「バーダー・マインホフ」。

 おおブレネリ、何と懐かしき名前よ! 

 などと、この名前を聞いてすぐピンと来るなんて、さすがは週刊金曜日の読者、オールドレッド様でございますな。

 別名ドイツ赤軍(RAF)。1960年代末から約10年間、マシンガンと爆弾で武装、デパートや出版社、米軍基地爆破、裁判官や検事総長、財界有力者の暗殺や誘拐、ハイジャックに大使館占拠とまあ、ヤンチャの限りを尽くした左翼過激派の若人たちです。

 この バーダー・マインホフの物語をドイツ人、しかも彼らと同じ団塊世代の監督やプロデューサなど制作陣が映画にしたって言うので、すっ飛んで見に行った。彼らドイツ団塊の世代が「自分たちの世代の負の歴史」をどう映画にするのか? んで、試写が終わってワタクシごろごろ床を転げ回った。ぐわわ。ぐやじい。やられた。またドイツ人にやられた。

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「ヒトラー最期の12日間」というドイツ映画を見たときも、ワタクシは悔しさの余り映画館の床を転げ回りました。映画館を三周くらいしたところで係員に蹴り出されました。だってこの映画は「ヒトラーを人間としていいところも悪いところも公平に描く」という途方もないリスクに挑戦、見事に成功しているですよ。

「夜遅くにすまないね」「料理おいしかったよ」と女性秘書やコックを気遣い、ワンちゃんを可愛がり、時にはジョークまで言う。

 だけど戦況が自分の思い通りにならないとキレて部下に怒鳴り散らすわ、手柄は全部自分のものにして失敗は全部人のせいにするわ、ああこういう困った上司うちの職場にもいるよなあ、ヒトラーてただの困ったぶちキレおじさんやんか。とまあ、ものすごくリアリティがある。ヒトラーとて悪魔でもモンスターでもなく、愚かな人間の一人であるという意味で、私たちと連続しているんですな。それがよくわかる。

 この「自分たちが犯した負の歴史」に真っ正面から対峙しようとするドイツ映画の勇気というのはすごい。日本映画に「昭和天皇を主人公にした第二次世界大戦の映画」なんて作れるか? 

 ははははは。無理っす無理っす。同じ敗戦国なのに、戦後64年経った今でも負の歴史を直視できず「ただ家族に会いたかった」とか「ただキミのために死にに行く」とか、おセンチな少女趣味に逃げ込んでウジウジメソメソしとる腰抜け日本映画とはどえりゃあ違うがや。ぐぐぐぐやじい。私は愛国者なのでドイツ人に負けるのは腹立つぞ。がるる。

 んで「バーダー・マインホフ」。この映画、主人公たちに何の感情移入もない。アンドレアス・バーダーはただの粗暴な阿呆。ファタハの軍事キャンプでもアラブ人を見下している傲慢なヨーロッパ人。作戦がいい加減なのでリーダーのくせにあっという間に逮捕されちゃう。ウルリケ・マインホフはジャーナリストなのに勢いに流されて武装闘争に入っちゃったはいいが、逮捕されるとメソメソ泣くし、獄中で真っ先に自殺しちゃう。

 んなもん、世界同時革命なんぞ実現するわけねえだろってのに、無実の人を殺しまくり、警察との復讐合戦になって最後はお定まりの分裂と裏切り。その描写はリアルで乾き切っている。まるで「役者を使ったドキュメンタリー映画」みたいだぞ。

 で、やっぱり比べちゃうのは若松孝二監督の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」だな。

 ははは。でもダメだわ。やっぱり。「バーダー・マインホフ」のように潔く自分の歴史と対峙した作品と比べると、「実録・連合赤軍」の方はお葬式で流す「故人さまの生前思い出ビデオ」みたいに見える。監督が実在の登場人物に近すぎたからなの?「なぜ、革命運動が仲間のリンチ殺し合いみたいな愚行に終ったのか」という歴史としての問いを徹底して突き詰められない。対象を突き放して直視できないんですな。

 やれやれ、団塊の世代の諸先輩方。昔あなた方は父親世代を「戦争責任を総括できないのはケシカラン」とデモったりアジったりして暴れてたんじゃないの? じゃあ、自分の世代が犯した負の歴史もちゃんと直視したらどうなのよ。

 日本人って、結局どの世代も負の歴史を直視できない腰抜けばかりなの? ぬおお大和魂はどうなったのだ? 

 何て吠えていたら、ヒトラー役の俳優ブルーノ・ガンツがインタビューで「日本のことはよく知らないけど、戦後処理ではドイツのほうがうまくいったみたいだねえ」などとしゃあしゃあとぬかしてけつかるのでまた憤激。ああ情けない。



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