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子どもの本当の父親は母親しか知らないのだ [週刊金曜日連載ギャグコラム「ずぼらのブンカ手帳」]

 どこの国の格言か忘れましたが「子どもの本当の父親は、母親しか知らない」というのがあるそうです。

 言われてみれば、まったくその通りであります。それを聞いた小生、当時交際しておったご婦人に、いやァ恐ろしいことを言うねェ、などとのん気なことを申しておりましたら、その女性、急に真顔になって「いやいや、誰が父親か母親本人にもよくわからないことがある」と言うではありませんか。小生の背筋に冷たいものが走ったことは言うまでもありません。案の定といいますか、間もなくその女性には「他に好きな男ができた」とフラれました。あああああ。

 いやまあ、そんな話はどうでもよろしい。米国のマイノリティ問題を描かせたら右に出る者はいない俊英、スパイク・リー監督が、これまた傑作『セレブの種』という映画をつくりました。

 ストーリーはこうです。ハーバードMBAを持つアフリカ系のジャックは、製薬会社で働く若きエリートですが、会社の不正を上司に報告したせいでクビになり、あげくに銀行口座まで凍結されて一文無しになってしまいます。そこに現れたのが、元カノで、今はレズビアンに転じた(アメリカでは実際よくある話)、これまたエリートビジネスウーマンのファティマ。彼女は、同性愛の恋人との間に子をもうけたいと願い、何とジャックに「種づけイッパツ一万ドル」という「お仕事」を提案します。

 レズなんやし子どもなんか諦めたらええやんけなどと思うのは、小生がジェンダーフリー後進国・ニッポンの男児たるゆえ。女の強欲、おっとまちがえた、母性愛は空のように広く海のように深いのであります。こうした「母母子家庭」は米国都市部ではごく普通の現象です。

 というわけで、最初は逃げ回っていたジャックも、カネの必要には勝てずこの新しいキャリアに大いに励み、最後には19人のベビーの「父親」になるのですが、これが社会問題化、テレビでは特番が組まれるわ議会の公聴会には呼ばれるわの大騒ぎになる。

 賢明なる読者にはもうお気付きでしょう。この映画、「売春=カネを代償に体を売る職業」の男女の立場をひっくり返した寓話なのです。「すべての労働者はその身体以外に売るべきものを持たない売春婦である」とおっしゃったのはマルクスだったかエンゲルスだったか、まあどうでもいいや、それ言ったおっさんは正しかった。例えば、ファティマにジャックの「優秀さ」を聞いたレズビアン仲間が、彼を取り囲んですっぽんぽんにし「品定め」する場面がある。これなど、男女が反対なら、いまこの瞬間にも世界中で行われている行為でありましょう。男性が女性に長年強いてきた恥辱にはっと気付かされる場面です(でも笑えます)。

 この映画がリアルなのは、女性が経済力をつけた昨今、このような事件が現実に起きてもちっとも不思議ではないということです。

 はっきり言っちゃえば、女性に経済力があれば、その子どもの父親を誰にするかという決定権は女性にある。つまり、人類史上初めて、誰のDNAを残すかという種の保存の決定権は、女性側に奪取されちゃったのであります。あな恐ろしや。この事態が来るのが怖くて、男性は有史以来、女性を経済・文化・社会的に抑圧し続けたのですね、フェミニストの先生方。わきゃあ。男にはきっつい時代やなあ。



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